
株式市場が大きく動揺したとき、多くの投資家が見る指標が「VIX指数」です。通称“恐怖指数”とも呼ばれるこの指数は、市場の不安心理を数値化したものであり、特に急騰時には株価との逆相関関係が注目されます。
本記事では、このVIX指数に着目し、その急騰時に「恐怖」を「チャンス」に変えるイベント投資手法を、豊富な過去事例とAI時代の活用方法を交えて詳しく解説します。
VIX指数とは?なぜ注目されるのか
VIX指数(Volatility Index)は、米シカゴ・オプション取引所(CBOE)が公表する指数で、S&P500オプションのインプライド・ボラティリティ(予想変動率)を基に算出されます。
- 数値が高い → 不安が広がっている
- 数値が低い → 安心感が広がっている
通常、VIXが20を超えると不安定、30を超えると極端な恐怖状態とされます。VIXと株価は基本的に逆相関の関係にあります。
VIX急騰=“買い場”ではない?その本質に迫る
「VIXが上がったから買いだ!」と飛びつくのは危険です。重要なのはなぜVIXが上がったのか。
たとえば、
- 地政学リスク(戦争など)
- 金融不安(破綻・信用収縮)
- 政策イベント(金利やFOMC)
VIXは“恐怖の結果”であり、“原因”ではありません。だからこそ原因に注目することがイベント投資の第一歩なのです。
過去のVIX急騰と株式市場の反応
2008年9月:リーマンショック
リーマン・ブラザーズ破綻により、VIXは一時 80超 に達し、世界同時株安を引き起こしました。
金融株を中心に大暴落し、各国で緊急金融対策が発動されました。
2020年3月:コロナショック
VIX:史上最高の85を記録。J-REITや旅行株が大暴落 → 1ヶ月後に急反発。
2022年2月:ウクライナ侵攻
地政学リスクによりVIX上昇。原油・天然ガス価格高騰 → エネルギー株が逆行高。
2023年3月:米銀破綻
米中堅銀行破綻 → 銀行株下落 / 保険・金関連が上昇。
2025年4月:トランプ関税
トランプ大統領が高額な関税を発動。中国とは関税戦争に。
VIX連動型イベント投資の3ステップ
- アラート設定:VIX30超で通知(TradingViewなど)
- 原因を特定:ニュースやSNSで“恐怖の中身”を見極める
- 連動銘柄を絞る:テーマ株(エネルギー・防衛・ゴールドなど)へ投資
“VIXが上がったから買う”のではなく、“何が起きているか”から銘柄を絞り込むのが成功の鍵です。
AI時代のイベント投資:自動化と分析の融合
AIを使えば、イベント投資はより効率的に。以下のような仕組みが実現可能です。
- Pythonで自動通知(Slack連携)
- ChatGPTでニュースの要約と分類
- NotionやGoogle Sheetsでテーマ株のリストを自動生成
感情に振り回されず、データと構造で冷静な判断が可能になります。
VIX指数と日経平均の相関
参考までにVIX指数と日経平均の相関グラフを出力するPython Codeを貼り付けておきます
import yfinance as yf import matplotlib.pyplot as plt from matplotlib import font_manager as fm # フォント指定(Mac標準のヒラギノ角ゴ) font_path = "/System/Library/Fonts/ヒラギノ角ゴシック W3.ttc" jp_font = fm.FontProperties(fname=font_path) # データ取得(データ取得したい期間を指定) start_date = "2008-01-01" end_date = "2025-04-12" vix = yf.download("^VIX", start=start_date, end=end_date)["Close"] nikkei = yf.download("^N225", start=start_date, end=end_date)["Close"] # 共通日付に揃える common_index = vix.index.intersection(nikkei.index) vix = vix.loc[common_index] nikkei = nikkei.loc[common_index] # ツイン軸グラフ作成 fig, ax1 = plt.subplots(figsize=(12, 6)) # 左軸:VIX ax1.plot(common_index, vix, color='red', label='VIX指数') ax1.set_ylabel("VIX指数", color='red', fontproperties=jp_font) ax1.tick_params(axis='y', labelcolor='red') # 右軸:日経平均 ax2 = ax1.twinx() ax2.plot(common_index, nikkei, color='blue', label='日経平均株価') ax2.set_ylabel("日経平均株価", color='blue', fontproperties=jp_font) ax2.tick_params(axis='y', labelcolor='blue') # タイトル・X軸 plt.title("VIX指数と日経平均の推移", fontproperties=jp_font, fontsize=14) ax1.set_xlabel("日付", fontproperties=jp_font) plt.grid(True) plt.tight_layout() plt.show()
このCodeを実行すると、次のようなグラフをいつでも出力することが可能です。
VIX投資の注意点とリスク
- VIXは未来予測ではない:現在の恐怖を反映しているだけ
- 高止まりリスク:反発を待っていても戻らない場合もある
- 他指標との併用:出来高・MACD・移動平均と組み合わせて判断
まとめ:恐怖を見極めることが最大のチャンス
VIXは投資家心理の可視化ツール。恐怖の原因を読み解き、それに備えて行動することがイベント投資の本質です。
- VIXは“恐怖の鏡”
- 恐怖の正体=投資アイデアの源泉
- AI活用で判断スピードと精度が劇的に向上
次にVIXが急騰したとき、あなたは「逃げる」側ですか? それとも「動く」側ですか?