2025年11月19日のNVIDIA決算発表を控え、同社の業績と連動する日本株について、会社四季報のデータを基に分析を進めます。NVIDIA関連企業として、具体的な提携関係を持つ企業や、業績が好調な半導体関連銘柄を抽出しました。

NVIDIA関連企業の提携状況と業績

四季報データによれば、NVIDIAとの具体的な提携関係を持つ日本企業が複数確認されました。まず、ニューテック(6734)は2018年5月にNVIDIA社のプリファードパートナーとなり、GPU搭載の「Cloud」シリーズを展開しています。同社の2025年2月期業績は売上高4,695百万円、営業利益362百万円で、営業利益率は7.7%となっています。株価は1,771円で、予想PERは13.15倍、配当利回りは2.82%です。また、Gデップアドバンス(5885)は2022年6月にNVIDIA社から「Best Compute DGX Partner」の認定を受けており、AI関連のインフラ構築において重要な役割を担っています。さらに、ABEJA(5574)は2017年5月に技術パートナーとしてNVIDIA Corporationと資本業務提携を結んでおり、AI関連事業を展開しています。

このほか、AI inside(4488)は2016年12月にNVIDIA Inception Programのパートナー企業となり、ニューラルグループ(4056)は2024年6月にNVIDIA パートナープログラム「NVIDIA Partner Network」に参加しています。これらの企業は、NVIDIAの技術を活用したサービスや製品を提供することで、AI市場の成長から恩恵を受ける立場にあります。

銘柄コード 銘柄名 NVIDIA提携内容 株価(円) 営業利益増減率(%)
6734 ニューテック プリファードパートナー、GPU搭載「Cloud」シリーズ展開 1,771 7.73
5885 Gデップアドバンス Best Compute DGX Partner認定
5574 ABEJA 技術パートナー、資本業務提携 12.35
4488 AI inside Inception Programパートナー
4056 ニューラルグループ Partner Network参加

半導体製造装置・検査装置関連の業績好調企業

NVIDIAの業績拡大は、AI半導体の製造に関わる日本の半導体製造装置メーカーにも大きな影響を与えています。アドバンテスト(6857)は半導体検査装置で世界大手であり、非メモリー用を中心にDRAM用では首位の地位を占めています。2025年3月期の業績は売上高779,707百万円、営業利益228,161百万円で、営業利益率は29.26%という高い収益性を誇ります。株価は19,530円で、前期→今期予想の営業利益増減率は63.91%と大幅な増益を見込んでいます。時価総額は149,627億円に達し、予想PERは54.41倍となっています。

東京エレクトロン(8035)は半導体製造装置で世界3位の地位にあり、コータデベロッパー、エッチング装置、成膜装置など前工程に強みを持っています。2025年3月期の売上高は2,431,568百万円、営業利益は697,319百万円で、営業利益率は28.67%です。株価は31,850円で、時価総額は150,215億円とアドバンテストをわずかに上回っています。前期→今期予想の営業利益増減率は28.09%で、予想PERは30.78倍、実績PBRは7.35倍となっています。

両社ともAI半導体需要の恩恵を受けており、特にHBM(広帯域幅メモリー)の大増産投資に伴う装置需要が業績を押し上げています。四季報によれば、2024年は中国半導体メーカーからの需要も急拡大し、半導体製造装置市場全体の成長に貢献しました。

銘柄コード 銘柄名 株価(円) 時価総額(億円) 営業利益率(%) 営業利益増減率(%)
6857 アドバンテスト 19,530 149,627 29.26 63.91
8035 東京エレクトロン 31,850 150,215 28.67 28.09

業績好調な増額修正企業の動向

四季報の最新データによれば、営業利益の増額修正を行った企業の中にも、NVIDIAの業績と間接的に連動する企業が含まれています。エスネットワークス(5867)は営業利益増減率が59.27%、今期→来期予想でも79.09%の増益を見込んでいます。これらの企業は、AI関連需要の拡大により、データセンターや通信インフラの整備需要が高まっていることから恩恵を受けています。

また、半導体材料分野では、AI半導体の製造に関わる材料メーカーの業績も好調です。四季報によれば、最先端のAI半導体の製造に関わるフォトレジスト分野の日本企業は最先端品に強く、多くのメーカーがAI投資拡大の恩恵を受けています。日本の半導体材料メーカーは主要半導体材料の世界シェアの約半分を握っており、世界の半導体サプライチェーンにとって欠かせない存在となっています。

半導体業界全体としては、AI半導体の絶好調が際立つ一方で、スマートフォンやパソコン向けは緩やかな回復にとどまっています。しかし、生成AIモデルの学習に使われるGPUの需要急増により、GPUを手がけるNVIDIAの業績が急拡大し、これが日本の関連企業にも波及効果をもたらしています。特に、AI半導体に欠かせないHBMの大増産投資に伴う装置需要が、業界全体の成長を押し上げている状況です。

NVIDIA決算を見据えた投資機会の総合評価

2025年11月19日のNVIDIA決算発表を控え、同社の業績と連動する日本株は多岐にわたります。直接的な提携関係を持つニューテック、Gデップアドバンス、ABEJAなどは、NVIDIAのGPU技術を活用したサービス展開により成長機会を得ています。一方、アドバンテストや東京エレクトロンなどの半導体製造装置メーカーは、AI半導体の製造需要増加から大きな恩恵を受けており、特にアドバンテストは営業利益増減率63.91%と顕著な成長を示しています。半導体材料分野でも、フォトレジスト等の最先端材料メーカーがAI投資拡大の恩恵を享受しています。

NVIDIAの決算内容次第では、これらの日本企業の株価にも影響が及ぶ可能性が高く、特に製造装置・検査装置メーカーの業績見通しには注目が集まります。2026年からはロジック、メモリーともに世代交代に伴う投資が本格化する見込みであり、中長期的な成長期待も高まっています。投資判断においては、各企業の収益性、成長性、バリュエーションを総合的に勘案し、NVIDIA決算の内容を見極めながら慎重に対応することが重要です。