はじめに
IPO(新規公開株)銘柄は、上場直後の需給ギャップや投資家の注目度の高さから、大きな値動きを見せやすい特徴があります。一方で、初動だけで終わる銘柄も多く、買いタイミングを誤ると大きな損失を被るリスクも潜んでいます。本記事では、IPO銘柄に特化した「上場来高値ブレイク投資」戦略をご紹介します。
この戦略のキモは、チャート上で「カップ・ウィズ・ハンドル(Cup with Handle)」パターンを形成し、その後「上場来高値」をオープン価格で更新した瞬間をシグナルとして捉える点にあります。
1. IPO銘柄投資の魅力と注意点
IPO銘柄に投資する最大の魅力は、上場直後の値動きの荒さから生まれる大きなリターンの可能性です。特に公募価格割れの心配が少ない、小型・新興銘柄では、需給逼迫を背景に数十%〜数百%の上昇も珍しくありません。
しかし、需給が一巡した後は急速に利益確定売りに押されるケースも多く、保有期間を見誤ると逆に大きなドローダウンを招くリスクがあります。
そこで本戦略では、値動きが「再度上昇トレンドに入ったこと」を示す『上場来高値ブレイク』を厳格にシグナルとし、初動から中長期のトレンド転換を狙います。
2. カップ・ウィズ・ハンドルとは?パターンの定義と優位性
カップ・ウィズ・ハンドル(Cup with Handle)は、テクニカル分析で知られるチャートパターンの一種です。
大きなU字型の「カップ」と、小さな下落調整の「ハンドル」から成り、最終的にハンドルの上限を超えた地点が強力な買いシグナルとなります。
2.1 パターンの定義

- カップ部:徐々に下落した後、ゆるやかな底を形成し、再び上昇してカップの左肩の高値水準まで回復
- ハンドル部:カップの右肩高値付近で小さな調整を行い、最終的に再度上昇の勢いをつける小U字
- ブレイクポイント:ハンドル高値(カップ左肩高値)を超えた瞬間
2.2 優位性の理由
- 需給バランスの改善:底値圏での需給ひっ迫後、ハンドルでの調整により強い買い圧力が示される
- トレンド継続性:パターン完成後のブレイクは長期トレンドへの転換を示唆
- リスク管理が容易:ブレイクミスの場合、ハンドル最安値割れで損切り設定が可能
3. 上場来高値ブレイクの意義
「上場来高値」とは、銘柄が上場して以降に記録した最高値のこと。これを更新するということは、投資家の関心が再燃し、新規資金流入が期待できる強いシグナルです。
IPO銘柄は一度高値を付けた後、利益確定売りに押されやすく、再度高値更新に至るケースは稀少。その分、成功した場合のパフォーマンスは大きくなります。
4. 戦略のフローと売買ルール
4.1 戦略フロー
- IPO上場後の価格データを取得
- 一定期間(lookback)でカップ・ウィズ・ハンドルを検出
- ハンドル完成日の翌営業日以降に上場来高値をOpenで更新した日をシグナルとする
- シグナル日に買付、horizon日後に売却してリターンを計算
4.2 売買ルール詳細
| シグナル条件 | カップ・ウィズ・ハンドル形成後、上場来高値をOpenで更新 |
|---|---|
| 買付タイミング | シグナル日(始値) |
| 売却タイミング | シグナル日から1/5/10/20営業日後の終値 |
| 損切り | ハンドル最安値割れ |
5. サンプルスクリプト解説(Python/YFinance)
以下は本戦略をPythonで実装するサンプルコードです。yfinanceでデータ取得し、pandasでパターン検出とバックテストを行います。
import yfinance as yf
import pandas as pd
import matplotlib.pyplot as plt
from datetime import datetime
from pandas.tseries.offsets import BDay
from typing import List, Optional
# 1. 価格取得関数
def fetch_price(ticker: str, start: str, end: str = None) -> pd.DataFrame:
df = yf.download(
ticker,
start=start,
end=end or datetime.today().strftime('%Y-%m-%d'),
progress=False
)
if 'Adj Close' not in df.columns:
df['Adj Close'] = df['Close']
df = df[['Open', 'High', 'Low', 'Close', 'Adj Close', 'Volume']]
df.index = pd.to_datetime(df.index)
return df
# 2. カップ・ウィズ・ハンドル検出
def detect_cup_handle(
close: pd.Series,
lookback: int = 10,
cup_depth_min: float = 0.10,
handle_depth_max: float = 0.03
) -> pd.Series:
flags = pd.Series(False, index=close.index)
for i in range(lookback, len(close)):
window = close.iloc[i-lookback:i]
peak = window.max()
trough = window.min()
if (peak - trough) / peak < cup_depth_min:
continue
trough_date = window.idxmin()
handle_window = close.loc[trough_date:close.index[i]]
if (peak - handle_window.max()) / peak > handle_depth_max:
continue
flags.iloc[i] = True
return flags
# 3. 最初のシグナル検出:CWH→翌営業日の初値ブレイク & ATH更新
def detect_first_breakout_signal(
prices: pd.DataFrame,
lookback: int = 10,
cup_depth_min: float = 0.10,
handle_depth_max: float = 0.03
) -> Optional[pd.Timestamp]:
# ① CWH フラグ検出
cwh_flags = detect_cup_handle(prices['Adj Close'], lookback, cup_depth_min, handle_depth_max)
# ② ATH(上場来高値)累積
ath = prices['High'].expanding().max()
for date in cwh_flags[cwh_flags].index:
next_day = date + BDay(1)
# 翌営業日がデータ内にあるか
if next_day not in prices.index:
continue
# 比較に .loc を使ってスカラーで取得
open_price = float(prices.loc[next_day, 'Open'])
threshold = float(ath.loc[date])
if open_price > threshold:
return next_day
return None
# 4. リターン分析(単一シグナル)
def backtest_single_return(
prices: pd.DataFrame,
signal_date: pd.Timestamp,
horizons: List[int] = [1, 5, 10, 20]
) -> pd.DataFrame:
rows = []
for h in horizons:
target = signal_date + BDay(h)
if target in prices.index:
open_price = float(prices.loc[signal_date, 'Open'])
adj_close = float(prices.loc[target, 'Adj Close'])
rows.append({
'horizon': h,
'return_%': (adj_close / open_price - 1) * 100
})
df = pd.DataFrame(rows, columns=['horizon', 'return_%'])
df['horizon'] = df['horizon'].astype(int)
return df
# 5. 実行部
def main():
ticker = '278A.T'
start_date = '2024-11-29'
df = fetch_price(ticker, start=start_date)
if df.empty:
print("価格データ取得に失敗しました。ティッカーまたは日付を確認してください。")
return
signal = detect_first_breakout_signal(df, lookback=10)
if signal is None:
print("シグナルは検出されませんでした。")
return
print("最初のブレイクシグナル日:", signal.strftime('%Y-%m-%d'))
# リターン分析
bt = backtest_single_return(df, signal)
if bt.empty:
print("リターン計算用データがありません。")
else:
print("\nホールド期間別リターン:")
print(bt.set_index('horizon'))
# 株価チャート描画
fig, ax = plt.subplots(figsize=(10, 5))
ax.plot(df.index, df['Adj Close'], label='Adj Close')
ax.scatter([signal], [df.loc[signal, 'Adj Close']],
color='red', s=100, label='Signal', zorder=5)
ax.set_title(f"{ticker} First CWH Break & ATH Update Signal")
ax.set_xlabel('Date')
ax.set_ylabel('Adjusted Close')
ax.legend()
ax.grid(True, linestyle='--', alpha=0.5)
fig.autofmt_xdate()
plt.tight_layout()
plt.show()
if __name__ == "__main__":
main()
6. バックテスト結果とパフォーマンス
本戦略を2024年11月29日に上場したTerra Drone(278A)でテストしてみました:
- 1営業日後:+6.16%
- 5営業日後:-6.04%
- 10営業日後:+28.05%
- 20営業日後:+78.36%
7. リスク管理とパラメータ調整
- 損切り設定:ハンドル最安値を割り込んだら即損切り
- lookback期間:短すぎるとノイズ、長すぎると反応が遅れる。10日程度が目安
- 深さ閾値:カップ深さ0.1、ハンドル0.03を基準に微調整
- ポジションサイズ:分割エントリーでリスク分散
8. まとめと今後の展望
IPO銘柄の上場来高値ブレイク戦略は、トレンド転換のタイミングを捉えやすく、大きなリターンを狙える手法です。
カップ・ウィズ・ハンドルによって需給改善シグナルを得て、上場来高値を更新したタイミングで参入することで、優位性を高めます。
今後はさらなる自動化や統計的検証、機械学習との組み合わせにも期待が持てる分野です。
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